FP2級に合格しました&合格のための勉強法
5月23日に2級ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP2級試験)を受験し,6月30日付で合格しました。
本来は昨年FP3級試験に合格した知識を残したままFP2級試験を受験しようと,2020年5月受験で申し込んでいたのですが,新型コロナウイルスの影響により中止になってしまい,そこからタイミングが合わず受験できていませんでした。
今回も申し込みはしたものの,本業でなかなか時間が取れず,直近2週間で何とか集中的に時間を確保して勉強し,合格することができました。
そこで,この記事では,①FP2級試験と3級試験の違い,②FP試験のおススメテキストと,③FPに限らない資格試験の勉強法の基礎について書いていきます。
この記事の目次
FP2級試験と3級試験との違いは?
FP2級試験とFP3級試験との違いは,大別すると,①覚えるべき事項の増加・精細化,②計算の増加,③実技が筆記問題化の3点です。
①覚えるべき事項の増加・精細化
これは,より上級の資格試験を受ける際に避けて通れない問題ですから,とにかく,地道にテキストを読んで,問題を解いて,間違えたらテキストに戻る,を繰り返すしかないと思っています。
しかし,テキストはちゃんと選ぶべきです。
TAC出版のテキストはおススメできない。
今回は,最初,昨年購入してそのままになっていたTACの「スッキリわかるFP技能士2級・AFPテキスト+問題集」,「スッキリわかるFP技能士2級・AFP過去+予想問題集」を使ったのですが,これが私には全く合わないテキストでした。
読み始めた時点で既に合わないとは思ったのですが,折角買った以上は,と思い,通読はしましたし,問題集も一周全問解きました。
しかし,所謂「予備校本」らしく,見かけ上の見やすさ・テーマごとの要点の明示・文章の触れやすさ(平易な,かつ,フレンドリーな文体)というメリットはあるものの,①一事項に対する記載が極端に薄い(少ない),②メリットであるテーマの要点以外の記載がとにかく雑・薄い・ものによっては存在しない,④説明が体系性を欠いていて理解しにくい(FP試験の問題構成に合わせているせいもありますが…),⑤添付の問題を解くための記載が回答文以外に存在しないことが多々ある,と私は読んでいてイライラしっぱなしでした(勉強になっていない…)。
某料理漫画の美食倶楽部の主宰者であれば,「このテキストを作ったのは誰だあっ!!」と予備校に怒鳴り込んでいるところです。
初学者がこのテキストを使って勉強しても合格は遠くなると思いますし,仮に合格できたとしても非常に上辺の知識しか得られないため,使える知識(資格)にはならないと思います。
ただ,取っ付き易さはあるのかもしれないので,これを入口に,ちゃんと他のテキストまで読むのであれば,テキストの作りにイライラしない方であれば基礎作りには使えるかもしれません。
やっぱりおススメは日経新聞出版のテキスト
このように,読み始めからイライラしてしまったため,読み始めてすぐにFP3級受験の際に利用した日本経済新聞出版の「うかる!FP2級・AFP 王道テキスト」,「うかる!FP2級・AFP 王道問題集」を書店で購入し,速攻でTACのテキストを通読し,問題集を一周しました。
こちらはやはり圧倒的に情報量が多いです。2020-2021年版のテキストの表紙には「圧倒的情報量で安心」と書かれているだけのことはあります。
例えば,「金融資産運用」のテーマうち「株式」に関するページは,TACのテキストでは添付の問題を合わせて7ページであるのに対し,日経出版のテキストは10ページあります。どちらも総ページ数は450ページ程度ですが,TACのテキストは後半130ページ以上が「+問題集」に費やされているため,テキストとしてのボリュームは日経出版の方が1.5倍程度あると思います。
また,メイン部分には覚えておくべき基本的事項が書かれており,細かいけれど出題歴のある事項や,間違いやすい事項については,ページの脇に逐次書いてありますので,情報の見落としもしにくくなっています。また,(当たり前だと思うのですが)添付の問題を解くための記載はページを遡ればちゃんとあります。こちらもテキストの構成はFP試験の問題構成に合わせているのですが,TACのテキストのような読みにくさはありません。
ということで,日経新聞出版のテキスト・問題集については,テキスト通読後,問題⇔テキストの往復をして知識の定着を図りました。
私なりの知識の定着の図り方については,下に記載していますので,参考になれば幸いです。
②計算の増加,③実技が筆記問題化
FP2級試験では,FP3級試験と比較して計算問題が増える上,実技試験(午後90分)が筆記試験になります。
FP3級試験でも同じような計算はやらされるのですが,実技試験も多肢択一式であるため,計算が多少間違っていても近い選択肢を選ぶことで正解することは可能でした。しかし,FP2級試験では計算結果を自分で書く必要があるため,正確に必要な数字を抜き出し,正確な計算を行う必要があります。
2021年5月試験のFP2級実技試験では,40問中正確な数字を算出する必要のある問題は17問あり,その他の問題でも多肢択一式ではあるものの計算を要する問題がありました。
計算自体が難しいものはほとんどありませんが,問題文から必要な数字を抜き出すのが一つハードルとしてあり,その前提として学科試験の知識が必要になります。
この数字の「抜き出し→計算→検算→解答欄に記入」を17問もやっていると,結構な時間がかかり,私は最後まで解くだけで60分以上使ってしまい,その後解答の再確認をしていたら試験時間ギリギリまでかかってしまいました。
これは,事前の練習の際に「解答欄の単位に合わせて,問題の指示どおりに数字をちゃんと書く」という練習をしていなかったのも一つの原因です。
練習ではどの解答も解答欄に記載された単位を考えずに「100万円」等と書いていたのですが,本来は解答欄に(円)だけ書いてあったり,(万円)と書いてあったりし,問題冊子の冒頭に「計算問題については,計算結果を解答として所定の欄に記入してください。その際,解答用紙に記載されている単位を使用し,漢字や小数点,上付き数字を使用しないでください。」との注意書きがあるのです…。
私のようなミスで時間オーバーにならないようにするために,これからFP2級試験を受ける方は,実技試験の練習を,ちゃんと所定の解答用紙を用いて行うべきでしょう。
FP3級試験とFP2級試験は,違うけど違わない
結局のところ,FP2級試験でもやるべき勉強のメインはテキスト⇔問題の往復で,これはFP3級試験のときと変わりません。
これに加えて直前期に実技試験(筆記試験)の練習をちゃんと解答用紙を用いて行えば,問題なく合格圏内に入れると思います。
知識の定着はどうやって図るのか?(資格試験の勉強法の基礎)
勉強の基本は知識の定着だと思っていますが(一部の天才的な方々は見聞きすれば覚えてしまうのでしょうが,私は普通人なので地道にやらなきゃならないタイプです。),勉強を始めても知識が定着せず,試験は諦めてしまうという方も多くいるようです。
これは単純にやる気の問題や勉強にかけられる時間の問題であったりもしますが,やる気があって試験まで時間をかけて勉強しても覚えられない(いざ試験になると思い出せない)という方は,うまいやり方を知らないだけなのだと思います。
どんな勉強法であれば知識が定着するのかは,個人差や好みもあると思いますから,絶対はないのですが,「私はこうしている」という方法を紹介します。
私は,①テキストと問題を何度も往復することと,②テキスト内の記載を自分の言葉に変換すること,の2点を意識しています。
①テキストと問題を何度も往復する
①については単純ですが,意外にできていない人が多いと思います。これをやっているようでやれていない,(私としては)間違っていると考えるやり方が,問題と解答だけを往復するやり方です。これだけをやってしまっている方が多いのではないでしょうか。
「問題を間違えたらその解答を見て覚える。そしてまた同じ問題で間違えないようにする。それでいいのでは?」と思われるかもしれませんが,それは飽くまで「その問題を間違えなくなるだけ」です。このやり方は,試験対策としてはうまく行くこともあるのですが,うまく行かないことも多々あります。なぜかというと,試験では「その問題」はほとんど出ず,「その問題に類する問題」が出るからです。
そのため,知識の定着を図る際には,「その問題」に関する知識だけではなく,「その問題に類する問題」の知識も定着させなければ,試験には対応できません。そして,「その問題に類する問題」の知識は,「その問題」の解答には書かれていないことが多くあります。
そこで,問題を解いたら「テキストに戻る」を繰り返すことで,その問題に関する知識のみならず,その周辺知識も反芻し,「その問題に類する問題」にも対応できる知識を定着させていくことが重要だと思います。
②テキスト内の記載を自分の言葉に変換する
勉強で物事を覚える際に,テキストの記載をそのまま覚えようとしてはいませんか?私の場合,文章にもよりますが,他人の文章をそのまま覚えるのは結構きついです。
そのため,私は,「文章で覚えた方がよいな」と思った部分については,その文章であったり表を自分の文章として書き直す(テキスト内に書き込む)ことにしています。
今回のFP2級の試験前は時間がなかったため,そこまで丁寧なやり方ができなかったのですが,例えば,FP3級の試験勉強の際には,投資信託の元本払戻金の説明の文章が,
「購入時の基準価額より分配後の基準価額(分配金を支払った後の投資信託の価額)の方が下がっている場合,その差額を元本払戻金」という
となっていたのですが,私が理解しやすいように
「分配金のうち,購入時基準価額-分配後基準価額=元本払戻金」
と書き換えています。
また,色々な係数についても,以下のように書き換えています。
(「テキストの説明文」欄は「うかる!FP3級 速攻テキスト 2019-2020年版」(日本経済新聞出版社)24~25ページから引用。)
係数 | テキストの説明文 | 自分で書き換えた文 |
終価係数 | 現在の元本を,一定期間複利運用した場合,元利(元金と利息)合計がいくらになるのかを計算する | 今の100万円が10年後いくらになるか。 |
現価係数 | 一定期間後に目標額をうけとるためには,現在いくら必要かを計算する | 10年後100万円にするためには今いくら必要か。 |
年金終価係数 | 毎年一定金額を複利運用で一定期間積み立てをした場合,いくらになるかを計算する | 毎年10万円積み立てたら10年後にいくらになるか。 |
年金現価係数 | 現在の元本を複利運用しながら,毎年一定金額を受け取るには,元本(用意すべき資金)がいくら必要かを計算する | 毎年100万円を10年間受け取るには今いくら必要か。 |
減債基金係数 | 一定期間後に目標額を受け取るには,毎年いくらずつ積み立てればよいかを計算する | 10年後に100万円にするためには毎年いくら積み立てる必要があるか。 |
資本回収係数 | 現在の元本を複利運用しながら,毎年一定金額を受け取る場合,毎年いくら受け取れるかを計算する | 100万円を10年間で取り崩す場合,毎年いくら崩せるか。 |
書き換え前後で言ってることは全く同じですが,自分の理解しやすい文章にすることで,定着しやすくなります。
上記の例も,私は上記のように書き換えましたが,他の人にとってはこれは合わない書き換えかもしれませんから,自分の言葉に直すのがよいと思います。
反復・継続が大事
以上のように,適切なテキスト・問題を往復して,分かりにくい文章は自分の文章に変換していくことを繰り返していけば,知識の定着は自ずとできてくると思います。
これでFP2級の学科試験は十分に合格点を取れると思いますし,学科試験の知識をベースに必要な数字を抜き出す計算問題がメインの実技試験も,数字の抜き出し間違いを防ぐことができるようになると思います。
AFP・FP1級は取るかどうか
AFP
FP2級を取得すると,一定の研修とライフプラン提案書の作成試験を経ることで,AFPの認定を受けることができます。
AFPの資格を維持するためには,定期的に継続教育を受け単位を取得する必要があることから,FP2級のままでFPとして仕事をするのであれば,AFPの資格を得ておくと,ちゃんと学習を継続しているFPであることをアピールできるため,有用だと思われます。
他方で,FPとしての仕事をメインとするわけではないのであれば,敢えてAFPを取る必要はないかなと思います(研修費用も,登録費用も,継続教育費用もかかりますし…)。
ただし,上位資格のCFPの試験を受けるためにはAFPの認定を受けておく必要があります。
FP1級
FP1級は,まず学科試験の受験資格として①FP2級を取得しFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者,または,②FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者である必要があるのですが,弁護士等の士業であれば,この実務経験は士業の業務にて満たすと認めてもらえるようです。
そして,FP1級学科試験に合格すると,FP1級実技試験の受験資格を得られることになっています(CFPであれば,学科試験を受けずに実技試験を受けられるようです。)。
取得に向けて勉強するかどうか
以上を踏まえると,私としてはFP1級まで目指すとしても,敢えてAFPやCFPを取得する必要はなさそうです。
もっとも,継続してFPの知識を仕入れる契機としてAFP以上を取得しておくのも有益ではあるので,悩ましいところです。
本業との兼ね合いで,時間が取れるようであれば,次のステップを考えたいと思います。
投稿者プロフィール
- (仙台弁護士会所属)
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