改正薬機法に注意!【広告・ウェブサイト編】

 令和元年(2019年)に,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律が改正され(令和元年12月4日公布。以下「改正薬機法」といいます。),令和2年(2020年)9月1日から順次施行されています。

 このうち,令和3年(2021年)8月1日施行分については,各所に大きな影響を与える内容になっていますので,まずは広告・ウェブサイトにおいて注意すべき改正点を説明します。

この記事の目次

薬機法改正の目的

 令和元年度改正薬機法の全体的な目的は,「国民のニーズに応える優れた医薬品,医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するとともに,住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができる環境を整備するため,制度の見直しを行う。」ことです。

 この目的を達成するための小項目として,

1.医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するための開発から市販後までの制度改善
2.住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師・薬局のあり方の見直し
3.信頼確保のための法令遵守体制等の整備
4.その他

が挙げられており,広告・ウェブサイトは,「 3.信頼確保のための法令遵守体制等の整備 」に関する改正が影響します。

課徴金制度の導入

禁止される広告の対象及び内容の概要

 医薬品等の広告については,令和元年度改正前から,薬機法第66条で以下のとおり制限されています。

(誇大広告等)
第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない

昭和35年法律第145号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 上記の誇大広告等については,令和元年度改正前は,薬機法第85条第4号によって,「第66条第1項又は第3項の規定に違反した者」は,「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する」と,刑事罰のみの対象となっていました(「第1項又は第3項」となっていますが,第66条第2項は「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告…することは,前項(=第1項)に該当するものとする」としていますから,結局,第2項に該当する広告等も刑事罰の対象です。)。

 もっとも,刑事罰というのは重い処分です。重い上に,刑事裁判を経なければ,上記の刑罰を科すことはできませんし,軽度の違反については不起訴処分(検察官が裁判にしないと判断して事件を終了させる処分)となる場合もあり,悪質な広告・ウェブサイト以外への適用がしにくかったものと考えられます。

 また,罰金額も最高で200万円ですから,特に虚偽・誇大広告(第1項)について違法な広告で得た収益を回収するには十分でなかったものと考えられます(「儲けたもの勝ち」になっていた可能性があります。)。

課徴金制度の導入

 そのため,改正薬機法では,誇大広告等をより実効的に禁止するため,「75条の5の2」が新設され,課徴金納付命令の制度が設けられました。

第75条の5の2 第66条第1項の規定に違反する行為(以下「課徴金対象行為」という。)をした者(以下「課徴金対象行為者」という。)があるときは、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額…に100分の4.5を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
2 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から6月を経過する日 (同日前に、課徴金対象行為者が、当該課徴金対象行為により当該医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して誤解を生ずるおそれを解消するための措置として厚生労働省令で定める措置をとったときは、その日)までの間に課徴金対象行為者が当該課徴金対象行為に係る医薬品等の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が3年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて3年間とする。)をいう。
3 第1項の規定にかかわらず、厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、課徴金対象行為者に対して同項の課徴金を納付することを命じないことができる。
 一 第72条の4第1項又は第72条の5第1項の命令をする場合(保健衛生上の危害の発生又は拡大に与える影響が軽微であると認められる場合に限る。)
 二 第75条第1項又は第75条の2第1項の処分をする場合
4 第1項の規定により計算した課徴金の額が225万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができない。

昭和35年法律第145号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

課徴金って何?

 課徴金とは,行政の目的(薬機法で言えば,①医薬品等の品質,有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止,②指定薬物の規制に関する措置を講ずること,③医療上特にその必要性が高い医薬品等の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより,保健衛生の向上を図ることであり(薬機法1条),このうち,広告規制は①の目的に沿うものです。)を達成するために,行政庁(薬機法については厚生労働省)が違反事業者に対して課すことのできる金銭的不利益を指します

 課徴金納付命令は,刑事罰ではありませんから,警察・検察の捜査や刑事裁判の対象にはなりません(もっとも,66条1項違反(虚偽・誇大広告)は,85条4号により刑事罰の対象となっていますから,課徴金納付命令のための調査と同時並行的に警察・検察による捜査や刑事裁判が行われることはあり得ます。)。

課徴金の金額は?

「課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額…に100分の4.5を乗じて得た額」(第1項)です。

 例えば,売上高が1億円であれば,1億円×0.045=450万円となります。

 ただし,「課徴金の額が225万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができない。」とされていますので(第4項),売上高が5000万円未満(5000万円×0.045=225万円)の場合には課徴金納付命令はなされません。

 これは,この程度の売上の場合には,刑事罰である200万円の罰金が科されれば,違法な広告による収益の取り上げとして十分と考えられるためと思われます。

課徴金の計算対象となる売上高の期間は?

 課徴金の計算対象となるのは,①課徴金対象行為をした期間=第66条第1項の虚偽・誇大広告を掲載・流布していた期間+②虚偽・誇大広告の掲載・流布をやめてから6か月以内に虚偽・誇大広告の対象となる医薬品等の取引をした場合は,掲載・流布をやめてから最後に対象医薬品等の取引をした日までの期間ですが,最長で3年間とされています(第2項)。具体的には,以下の図のようになります。

改正薬機法による課徴金の計算対象期間

虚偽・誇大広告をした場合,必ず課徴金が課されるのか?

 改正薬機法第75条の5の2第1項は,「厚生労働大臣は,… 課徴金を国庫に納付することを命じなければならない 」と,課徴金納付命令を厚生労働大臣の義務としています。

 ただし,第72条の4第1項(業務改善命令)又は第72条の5第1項(措置命令)の命令をする場合で保健衛生上の危害の発生又は拡大に与える影響が軽微であると認められる場合(第3項第1号),第75条第1項(許可の取消し・停止)又は第75条の2第1項(登録の取消し・停止)の処分をする場合には,「課徴金を納付することを命じないことができる。」(=厚生労働大臣の裁量)とされています。

 厚生労働大臣の「裁量」ですから,業務改善命令や許可の取消しとともに課徴金の納付命令をすることも十分にあり得ます。

課徴金の金額は絶対に売上高の4.5%なのか?

 虚偽・誇大広告を行っていた者(課徴金対象行為者)が,自らその行為について厚生労働大臣に報告をした場合には,50%の減額を受けられます(第75条の5の4)。

 ただし,その報告が,調査があったことにより当該課徴金対象行為について課徴金納付命令なされることを予知してされたものであるときは,減額の対象となりません (第75条の5の4ただし書き) 。

 調査を受けたら減額は受けられない,と考えていただいた方がよいでしょう。

(課徴金対象行為に該当する事実の報告による課徴金の額の減額)
第75条の5の4 第75条の5の2第1項又は前条の場合において、厚生労働大臣は、課徴金対象行為者が課徴金対象行為に該当する事実を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告したときは、同項又は同条の規定により計算した課徴金の額に100分の50を乗じて得た額を当該課徴金の額から減額するものとする。ただし、その報告が、当該課徴金対象行為についての調査があったことにより当該課徴金対象行為について同項の規定による命令(以下「課徴金納付命令」という。)があるべきことを予知してされたものであるときは、この限りでない。

昭和35年法律第145号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 上記のほか,不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます。)による課徴金も同時に課される場合には,金額の調整がなされますが,事例としてはあまりないと考えられる上,適用関係がややこしいため,ここでは割愛します。

課徴金の対象となり得る広告とは?

健康食品は大丈夫?

 改正薬機法により課徴金の対象とされたのは,同法第66条第1項の虚偽・誇大広告です。もう一度その条文を見てみると,

第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

昭和35年法律第145号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

と,虚偽・誇大広告の規制対象は,「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品」とされています。

 そして,この「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品」は,同法第2条第1項(医薬品),第2項(医薬部外品),第3項(化粧品),第4項~第8項(医薬機器),第9項(再生医療等製品)に定義が書かれており,この定義に当てはまらないような健康食品は,同法第66条第1項の虚偽・誇大広告の対象になりません。

 したがって,医薬品にあたらない健康食品に関する広告については,改正薬機法の課徴金の対象とはなりません。

健康食品だからって安心するな!

 上記のとおり,健康食品に関する広告は,改正薬機法の課徴金の対象とはなりません。
 だからと言って,野放しではありません。

医薬品に該当すると判断されれば薬機法違反で刑事罰もあり得る

 健康食品であっても,改正薬機法第2条第1項第2号又は第3号に定義されたような「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」(第1号)や,「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」(第2号)にあたると認められる場合には,「承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告」として,同法第68条により禁止されることになります。

 (なお,改正薬機法第2条第1項第2号又は第3号に定義される医薬品に該当するかについては,「昭和46年6月1日薬発第476号厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別紙「医薬品の範囲に関する基準」が参考になります。この通知では,原材料,効能効果,形状,用法用量等から医薬品該当性を判断するとしています。)

(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第68条 何人も、第14条第1項、第23条の2の5第1項若しくは第23条の2の23第1項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第14条第1項、第19条の2第1項、第23条の2の5第1項、第23条の2の17第1項、第23条の25第1項若しくは第23条の37第1項の承認又は第23条の2の23第1項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

昭和35年法律第145号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 第68条は,条数の引用ばかりで読みにくいため,医薬品と判断され得る健康食品に関する部分に限って読み替えると,

改正薬機法第68条の読み替え
何人も、第14条第1項(=厚生労働大臣の承認を受けなければならない)…医薬品…であって、まだ第14条第1項(=厚生労働大臣の)…承認…を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

 すなわち,その物の目的(原材料,効能効果,形状,用法用量等)からして厚生労働大臣の承認を受けていない「医薬品」にあたると認められる物(健康食品)について,「名称,製造方法,効能,効果又は性能に関する広告」をした場合には,改正薬機法第68条違反となります。

 そして,薬機法第68条に違反した場合には,「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し,又はこれを併科」されることになっており(同法第85条第5号),さらに,無許可での医薬品の販売に該当すれば(同法第24条第1項違反),「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科」されることになります(同法第84条第9号)。

 したがって,医薬品であるかのように効能等を謳った健康食品の広告・販売は,虚偽・誇大広告よりも重い懲役刑を受けることになる可能性がありますから,課徴金の対象とならなくとも,十分に注意し,このような行為(広告・販売)に及ばないようにすべきです。

景品等表示法違反その他多数の法令違反にもあたり得る

 健康食品に関する虚偽・誇大広告は,改正薬機法の課徴金の対象とはなりませんが,景品表示法にて禁止されている優良誤認表示(同法第5条第1号)に該当し,同法第8条第1項の課徴金納付命令の対象となり得ます(この場合は,売上高の3%)。

 また,健康増進効果について誇大広告を行っていれば,同時に,健康増進法第65条第1項違反となりますし,保健機能食品でないのにパッケージに特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語を記載すれば食品表示法第5条及び食品表示基準第9条第10号違反になります。

 さらに,健康食品の通信販売業者が上記の表示をすれば,虚偽誇大広告として特定商取引に関する法律第12条違反になります。

 以上のように,健康食品の広告表示については,気を付けるべき点が多々ありますので,注意が必要です。

「医薬品」にあたる健康食品に関する虚偽・誇大広告は課徴金の対象となるのか?

 なお,医薬品にあたる健康食品(未承認医薬品)についても改正薬機法第66条第1項の虚偽・誇大広告規制が及び,課徴金の対象となると解説しているウェブサイトもあります。

 しかし,改正にあたっての議論において,薬機法第68条(未承認医薬品の広告禁止)も課徴金の対象とするかについて議論がありながら,今回の改正においては対象とされなかった経緯があります。

 この経緯からすれば,医薬品にあたる健康食品(未承認医薬品)については,改正薬機法第66条第1項(虚偽・誇大広告の禁止)及び第75条の5の2(課徴金納付命令)の対象とはならないと解するのが相当と考えます。

医薬品の広告基準

医薬品等適性広告基準を参考にしましょう

 医薬品については,平成29年9月29日薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「医薬品等適正広告基準の改正について」,及び,平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」が参考になります。

対象となる広告

 同基準では,「この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする。」と,広く基準の対象としています。

名称

 名称について,同基準は,原則として,承認又は認証された「名称又は一般的名称」,承認を要しない場合には「日本薬局方に定められた名称」,「届出を行った一般的名称又は届け出た販売名」を使用しなければならない,としています。

製造方法関係

 同基準は,「実際の製造方法と異なる表現又はその優秀性について事実に反する認識を得させるおそれのある表現をしてはならない」としており,留意事項では,「製造方法について「最高の技術」、「最先端の製造方法」等最大級の表現又は「近代科学の枠を集めた製造方法」、「理想的な製造方法」、「家伝の秘法により作られた・・・」等最大級の表現に類する表現は、その優秀性について事実に反して誇大に誤認させるおそれがあるため認められない」としています。

効能効果、性能及び安全性関係

 同基準は,まず,①「効能効果又は性能… についての表現は、明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効能効果等の範囲をこえてはならない。」としており,留意事項では,

ア 承認等されている効能効果等以外の効能効果等を実際に有していてもの未承認等の効能効果等を広告してはならない
イ 効能効果等の二次的、三次的効果(副次的効果)等の表現はしてはならない
ウ 承認された効能効果等に一定の条件、いわゆるしばりの表現が付されている医薬品等の広告を行う際は、原則としてしばり表現を省略することなく正確に付記又は付言すること
エ 同系統の数種の医薬品等を単一の広告文で広告する場合の効能効果の表現は、それらの医薬品等に共通する効能効果等でなければならない
オ 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品を同一紙面又はテレビ等で同時に広告を行う場合には、相互に相乗効果を得るような誤解を招く広告又は科学的根拠に基づかず併用を促すような広告(医薬品及び指定医薬部外品に限る。)は行わないこと
カ 数種の成分からなる医薬品等について、その個々の成分についての効能効果の説明を行う場合及び医薬品等の作用機序を説明することは、医学、薬学上認められており、かつ、その医薬品等の承認等されている効能効果等の範囲をこえない場合に限り差し支えない。
キ 複数の効能効果を有する医薬品等を広告する場合、そのうちから、特定の一つの効能効果等を広告することは差し支えない

としています。

 また,同基準は,

② 承認等を要しない医薬品等(化粧品を除く。)の効能効果等の表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない。
③ 医薬品等の成分及びその分量又は本質等並びに医療機器の原材料、形状、構造及び原理について、承認書等への記載の有無にかかわらず、虚偽の表現、不正確な表現等を用い効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない。
④ 医薬品等の用法用量について、承認等を要する医薬品等にあっては承認等を受けた範囲を、承認等を要しない医薬品等にあっては医学、薬学上認められている範囲をこえた表現、不正確な表現等を用いて効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない。
⑤ 医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。
⑥ 医薬品等の効能効果等又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現をしてはならない。
⑦ 医薬品等の速効性、持続性等についての表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない。
⑧ 医薬品等の効能効果等について本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現することにより、その効能効果等を誤認させるおそれのある広告を行ってはならない。

としており,細かな事例については留意事項に記載されています。

過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限

 同基準は,「医薬品等について過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告を行ってはならない。」としています。

 そして,留意事項では,「子どもが自分で医薬品を手に持つ又は使用する場面を用いることは思わぬ事故を促すもととなるため、行わないこと。」等とされています(某子ども用目薬のCMでも,子どもが登場はしますが,大人が点眼していますね。)。

医療用医薬品等の広告の制限

 同基準は,医療用医薬品については「医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を行ってはならない。」としています。

一般向広告における効能効果についての表現の制限

 同基準は,「医師又は歯科医師の診断若しくは治療によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、医師又は歯科医師の診断若しくは治療によることなく治癒ができるかの表現は、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告に使用してはならない。」としており,留意事項では,その例として「胃潰瘍」,「十二指腸潰瘍」,「糖尿病」,「高血圧」,「低血圧」,「心臓病」,「肝炎」,「白内障」,「性病」を挙げています。

習慣性医薬品の広告に付記し、又は付言すべき事項

 同基準は,「法第50条第11号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する医療用医薬品について広告する場合には、習慣性がある旨を付記し、又は付言しなければならない。」としています。

使用及び取扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、又は付言すべき事項

 同基準は,「使用及び取扱い上の注意を特に換起する必要のある医薬品等について広告する場合は、それらの事項を、又は使用及び取扱い上の注意に留意すべき旨を、付記し又は付言しなければならない。ただし、看板等の工作物で商品名のみを広告する場合はこの限りではない。」としており,留意事項では,医薬部外品として殺虫剤,染毛剤,パーマネント・ウェーブ用剤がこれにあたるとしています。

他社の製品の誹謗広告の制限

 同基準は,「医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない。」としています。

 そして,留意事項では,「誹謗」の例として,他社の製品の品質等について実際のものより悪く表現する場合だけでなく,他社の製品の内容について事実を表現した場合も「誹謗」に該当し得ることを指摘しています。

医薬関係者等の推せん

 同基準は,「医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。」としています。

 そして,留意事項では,「特許に関する表現は、事実であっても本項に抵触し、事実でない場合は虚偽広告として取扱う。」,また,「厚生労働省認可(許可・承認等)、経済産業省認可(許可)等の表現も本項に抵触する。」としています。

懸賞、賞品等による広告の制限

 同基準は,①「過剰な懸賞、賞品等射こう心を煽る方法による医薬品等又は企業の広告を行ってはならない。」,②「懸賞、賞品として医薬品を授与する旨の広告を行ってはならない。ただし、家庭薬を見本に提供する程度であればこの限りではない。」,③「医薬品等の容器、被包等と引換えに医薬品を授与する旨の広告を行ってはならない。」としています。

不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限

 同基準は,「広告に接した者に、不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現や方法を用いた広告を行ってはならない。」としており,留意事項では,その例として,「症状、手術場面等の露骨な表現をすること、医薬品等の名称等についての著しい連呼行為等」や,「「あなたにこんな症状はありませんか、あなたはすでに○○病です」、「胸やけ、胃痛は肝臓が衰えているからです」等の不必要な不安又は恐怖感を与えるおそれのある表現」等を挙げています。

テレビ、ラジオの提供番組等における広告の取扱い

 同基準は,①「テレビ、ラジオの提供番組又は映画演劇等において出演者が特定の医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他について言及し、又は暗示する行為をしてはならない。」,②「テレビ、ラジオの子ども向け提供番組における広告については、医薬品等について誤った認識を与えないよう特に注意しなければならない。」としています。

医薬品の化粧品的若しくは食品的用法又は医療機器の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限

 同基準は,「医薬品について化粧品的若しくは食品的用法を又は医療機器について美容器具的若しくは健康器具的用法を強調することによって消費者の安易な使用を助長するような広告を行ってはならない。」としており,留意事項では,美容器具的用法として「「美容器具的用法」とは,バイブレーター等を痩身目的に用いる用法等」が挙げられています。

まとめ

 以上のように,規制される医薬品の広告内容は多岐にわたり,かつ,素人が個別に判断することは容易ではありません。

 他方で,薬機法に違反すれば,刑事事件となって懲役刑や罰金刑を科されるおそれや,課徴金を課されるおそれがあるのですから,素人が報酬目当てで手を出すにはリスクが高すぎると考えます。

 医薬品や健康食品の宣伝には,安易に手を出さないようにしましょう。

 なお,薬機法違反(無許可での医薬品販売,未承認医薬品の広告,その他(虚偽・誇大広告))のウェブサイトについては,厚生労働省・各自治体の情報提供窓口がありますので,怪しげなウェブサイトを発見された方は,以下から情報提供をしていただければと思います。

参考:医薬品医療機器等法違反の疑いがあるインターネットサイトの情報をお寄せください