事実と異なることを書かれた。匿名の投稿で評判を落とされた。患者さんではない人物が書いているように見える。

削除できるかどうかは、投稿の内容によって分かれます。待ち時間や対応への不満といった感想にとどまる場合、削除は容易ではありません。他方、実際には行われていない言動や、起きていない事故が書かれている場合には、削除が認められる可能性があります。

そして、時間の経過が結果を左右します。投稿から3か月を過ぎると投稿者の特定が難しくなりはじめ、6か月を超えると特定できない可能性が高くなります。そのため、気になるクチコミがなされた場合には、お早めにご相談ください。

1. 削除できるクチコミ・できないクチコミ

名誉毀損(信用毀損)が成立するかどうかは、投稿が「事実の摘示」か「意見・論評」かによって大きく変わります。

投稿の性質削除の見込み
意見・論評待たされた、対応が冷たいと感じた、二度と行かない難しい
事実の摘示実際には行われていない言動、起きていない事故、資格や経歴に関する虚偽認められる可能性がある

評価や感想そのものは表現の自由の範囲とされ、内容が医療機関にとって不本意であっても、それだけでは削除は認められません。削除が認められ得るのは、原則として、事実に反する具体的な記載がある場合です。

ご相談をお受けした際に確認すること

当事務所では、次の順序で検討します。

まず、投稿内容を確認します。あわせて、医師・看護師・事務職員の方の記憶、記録、認識を伺います。

次に、投稿者が患者さんと考えられるか、患者さん以外と考えられるかを検討します。患者さんと想定される場合には、カルテをはじめ、投稿者と思われる患者さんについてどのような客観的資料があるかを確認します。

その上で、名誉毀損(信用毀損)の法的要件を満たすか違法性阻却事由があり得るかを検討します。

投稿の文面だけでは判断できません。院内の事実関係と客観的資料を照らし合わせて、はじめて見通しを検討することができます。ご相談の際には、投稿の画面及びURLのほか、思い当たる診療の記録をご用意ください。

2. 医療機関がとりうる手段

① 投稿者を特定する(発信者情報開示命令・提供命令)

匿名の投稿について、投稿者を特定するための手続です。令和4年10月に施行された制度により、従来より手続が整理されました。

Googleマップのクチコミの場合、Googleに投稿者のメールアドレスや電話番号が残っている場合があります。発信者情報開示命令の申立てにより、アカウント情報を開示させることも考えられます。

② 削除の仮処分を申し立てる

サイトの運営者(コンテンツプロバイダ)に対し、裁判所を通じて投稿の仮の削除を求める手続です。申し立てが認められた場合には、担保金を供託の上、投稿者を特定しないまま投稿の削除だけを求めることができます。

③ 投稿者に削除を求める(交渉)

投稿者が特定できている場合、当職から削除を求める通知を行い、任意の削除を求めます。期限を区切り、その間に削除されなければ④に進みます。

④ 削除請求・損害賠償請求訴訟

投稿者を特定した上で、削除と損害賠償を求める訴訟を提起します。

⑤ あえて対応しないという選択

投稿内容が、法的に名誉毀損や信用毀損に該当するとは判断できない場合には、対応しないという判断もあります。手続を進めても結果が得られない見込みが高いためです。

この判断についても、ご相談の際に率直にお伝えします。

3. 費用と期間の目安

費用は弁護士費用一覧に掲載しています。おおよその目安は次のとおりです(いずれも消費税込み)。

手続着手金報酬金
発信者情報開示命令・提供命令1件あたり22万円~開示命令で1件あたり11万円~
削除の仮処分1投稿あたり11万円~発令で1投稿あたり11万円~
削除請求の交渉11万円削除で1投稿あたり11万円
削除請求・損害賠償請求訴訟33万円~削除認容で1投稿あたり22万円ほか

顧問契約中の医療機関には、上記から1割を減額します。このほか、裁判所に納める予納金等の実費が別途かかります。

期間について

削除の仮処分は、申立てから発令まで2か月程度が一般的です。発信者情報開示は、開示命令の申立てから投稿者の特定までに数か月を要し、その後さらに訴訟を行う場合には、全体で1年前後かかることもあります。

近時の状況について

Google等の海外の法人が運営するサービス上の投稿に関する事件は、東京地方裁判所が管轄を有し、同地裁の民事第9部が取り扱っています。近年は申立件数が増加しており、手続に要する期間が従来より長期化していると言われています。見通しについては、ご相談時の状況を踏まえてお伝えします。

4. 手続に入る前に知っておいていただきたいこと

ご依頼をお受けする前に、次の点を必ずご説明しています。

不利な内容であっても、名誉毀損・信用毀損に該当しない場合があります
医療機関にとって不本意な投稿であることと、法的に違法な投稿であることは別です。該当しないと判断される場合、上記の手続きを執ることはお勧めしていません。

削除が認められても、再度書き込まれるおそれがあります
同一の人物が別のアカウントで投稿することを、削除によって防ぐことはできません。

相手方によっては、慰謝料等の回収が難しい場合があります
投稿者を特定し、損害賠償が認められたとしても、相手方に支払う資力がなければ現実の回収には至りません。

時間が経つと、投稿者を特定できないことがあります
通信記録の保存期間には限りがあります。投稿から3か月が経過すると難しくなりはじめ、6か月を超えると特定できない可能性が高くなります。お早めにご相談ください。

5. 避けていただきたい対応

  1. クチコミへの返信で、患者さんを特定し得る情報を書き込む 「あなたは○月○日に受診され」といった返信は、お勧めできません。投稿者が患者さんであることを医療機関が積極的に明らかにすることになり、守秘義務や個人情報の取扱いの観点から問題が生じます。
  2. 感情的な返信をする 返信は誰にでも読める形で残ります。応酬の記録そのものが、医療機関の評価に影響します。
  3. 良いクチコミを集めようとする 悪いクチコミへの対策として、良いクチコミを沢山投稿してもらうという方法を提案する方もいます。しかし、医療法第6条の5第2項第1号により「他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告」(比較優良広告)、同条同項第2号により「誇大な広告」をしてはならず、同条第3項により同項各号に定められた広告可能事項以外の広告もしてはならないとされており、クチコミもこれらの禁止の対象となります。そのため、良いクチコミだけを集めるという行為は、医療法や医療広告ガイドラインに抵触するおそれがあることに注意が必要です。

6. よくあるご質問

「待たされた」「対応が悪い」と書かれました。削除できますか

難しいとお考えください。待ち時間や応対についての感想は、意見・論評にあたり、内容が不本意であってもそれだけで違法とはいえません。

他方、その投稿のなかに、実際には行われていない言動や、起きていない事故についての記載が含まれていれば、その部分について削除を求める余地があります。投稿の全体を拝見して検討、判断します。

明らかに患者ではない人が書いているようです。対応できますか

ご相談ください。投稿者が患者さんと考えられるか、そうでないかは、最初に検討する事項のひとつです。

カルテなどの客観的資料と照らし合わせ、記載された事実が存在しないことを示せる場合には、削除が認められる可能性が高まります。

投稿から半年ほど経っています。今からでも間に合いますか

投稿者の特定については、難しい可能性があります。通信記録の保存期間には限りがあり、投稿から3か月が経過すると難しくなりはじめ、6か月を超えると特定できない可能性が高くなります。

もっとも、投稿の削除自体は、期間が経過していても求められる場合があります。まずはご相談ください。

投稿者に返信したほうがよいですか

返信をされる場合でも、患者さんを特定し得る情報は書き込まないでください。「あなたは○月○日に受診され」といった記載は、投稿者が患者さんであることを医療機関自らが明らかにすることになります。

返信の要否や書きぶりについても、ご相談いただければ助言します。

費用に見合わないと言われることはありますか

あります。投稿が法的に名誉毀損・信用毀損に該当しないと判断される場合、内容にどれほど不満がおありでも、上記の手続きを執ることはお勧めしていません。

また、削除が認められても再度書き込まれるおそれがあること、相手方に資力がなければ賠償金を回収できないことも、あらかじめご説明しています。手続を進めるかどうかは、見通しをお伝えしたうえでご判断いただきます。

Googleマップのクチコミでも投稿者を特定できますか

Googleに投稿者のメールアドレスや電話番号が残っている場合があります。発信者情報開示命令の申立てにより、アカウント情報を開示させることも考えられます。

ただし、登録された情報が正確とは限らず、特定に至らない場合もあります。

顧問契約をしていなくても相談できますか

はい。ご相談料はいただきますが、お気軽にご相談ください。

なお、顧問契約中の医療機関には、電話・FAX・メール・オンラインによるご相談を回数の制限なくお受けしており、ご依頼いただく際の弁護士費用も1割を減額します。

クチコミやインターネット上の投稿について、ご相談を承っています。

投稿から時間が経つほど、投稿者の特定は難しくなります。対応すべきかどうかの判断を含めて、お早めにご相談ください。

022-222-5822

受付時間:平日9:00〜17:30(ご相談は18:00まで承ります)

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ご相談は予約制です。利益相反が生じないよう、原則として、患者さんからのご相談はお受けしていません。